目で追う

階段の怪談で会談する

明け方、まだ日が昇る前。
一階へ降りて行った猫が
珍しい位の大きな音を立てて
すぐに二階へ掛け上がって来た。
階下を見下ろしてみたが、
静まり返って真っ暗な階段があるのみで
普段と何処も変わらない。
何を見たのか
何に遭ったのか
猫の怯えた様子を見ると
確かめに降りて行く気にはなれなかった。


猫はベッドに蹲って暫く毛を逆立てていたが、
背中を撫でているうちにすぐに落ち着いた。
時折暗闇の中で何かを目で追う仕草をするのは、
猫の習性なのかそうでないのか。