脳味噌にも御馳走

怪談話はこんな顔して…

職種別に怪異譚をインタビューした記事を読んだ。
必然的に生活の中の「職」という
深い部分に根差す体験談が多くなるから
妙な現実味を帯びていて、
読んでいて非常に興味深かった、
という話を友人達としていて
少し怪談めいた話題になった。


読み聞いた話を幾つか披露すると、
友人達も「あ、そう言えば・・・」と
呼応する形で幾つかの話を思い出し、聞かせてくれる。
それを聞いて僕もまた別な話を思い出す。
人から話を引き出したければ、まず自分が語れ、と
取材を重ねて本を綴る人が仰っていたのを思い出した。
なるほどなあ。


怪談に限らず、こうした形で知識の交換が行われ始めると、
御馳走になった淹れ立ての珈琲の所為もあるのか
静かな昂揚感を感じ、会話を楽しんでいる、という充足感に満たされる。
何と言えばいいのか、巧い言葉が見付からないが
脳味噌の辺りが気持ちいい。
これもきっと「御馳走」、なんだな。
こればかりは独りでは得られないものだから、
何気なく過ごすこうした時間こそが
とても貴重な時間なんだろうと改めて感じる。


尤も怪談話の苦手な聞き手の方は、
少々うんざりしたかも知れないが。