今夜はよく冷える。
薄い羽毛布団をもう一枚出してシーツを掛けた。




チィさんが不満そうに鳴くので
きっと寒いのだろうと
重ねた掛け布団の一番下に入れたのだが
僕がベッドを離れると、すぐに出て来て文句を言う。
何かが気に入らないらしい。


今度は一番下ではなく、掛け毛布の上に入れた。


暫くは大人しくしていたが、
やっぱり居心地が宜しくないのか
すぐに出て来てしまう。


それでもう一枚薄い羽毛布団を出して重ね
今度は一番上の掛け布団の下に入れた。


途端に
満足げにごろごろと喉を鳴らす音が聞えて来る。


それで何だか嬉しくなった。


薄っぺらな布団の一枚や二枚、
上でも下でもそれほど変るとも思えないけれど、
そもそも何が気に入らなかったのかも
よくは解らないけれど、
今は幸せそうに喉を鳴らしているから
それでいいのだ、と思う。




考えてみれば
何が幸せで
何が不幸せなのかなんて
よく解らない事の方が多い。