畠中恵の「うそうそ」を読んだ 。

うそうそ

うそうそ

まずページを開くと、

うそうそ = たずねまわるさま。きょろきょろ。うろうろ。

とある。
そして本編に入る前、導入部で描かれるシーンの台詞。

神なるお方の側にも、明日を、己を見つけたいと、
迷っている御仁がおられるのだそうな。
千年ほど迷い、うそうそ己を捜し続けている。

ああーー
もう駄目だ。
最初から完全にやられた。
どうしてこうも巧いのだろう。
掴みは完璧。
もう、悔しいくらいに見事に惹きつけられた。


絵にしても細工物にしても、あんまり巧いものに出くわすと
その素晴らしい出来映えに惹きつけられるあまり、
少し悔しいような、それでいて堪らなく嬉しいような、
そんな複雑な気持ちになるのだが、
この本もそういう気持ちにさせられた。
しかもページを開いてすぐに。


何処までも長く続いて欲しいと切望する、数少ないシリーズの一つだ。