チィさんに
「これで猫缶が数え切れないくらい買えるらしいよ」
と言って見せたら、
暫くは興味深げに匂いを嗅いだりしていたが
すぐにつまらなそうな顔をしてムギュと踏んづけると、
プイと何処かへ行ってしまった。


襤褸鞄に金色の板を詰め込んで銀座へ向かった。
金属を紙に変えてくれる店があるらしい。
100枚を驚くべき早さで数えて束にして行く機械を
ぼーっと眺めていた。
目の前にいくつも積み上げられてゆく紙束で
積み木遊びがしてみたくなる。
不釣合いな場所で縁遠い光景を目にしていると、
何だか可笑しくて堪らない。


金属でずしりと重かった襤褸鞄は、
今度は紙束で膨らんで重くなった。
少し運ぶだけだから気楽なものだ。
全部持って帰って良いとなったら、
途端に気が重くなるのかも知れない。
持って帰ったら、やっぱりチィさんは
つまらなそうに踏んだり爪を研いだりするんだろうな。
そう思ってまた可笑しくなった。