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江國香織の「とるにたらないものもの」を読んだ。
とるにたらない本、だと思った。
けして貶しているのではない。
僕はこの本がとても気に入った。
とるにたらない、と言いつつ、
身の回りのモノや事象に向けられたその視線は、
暖かく、さりげない。
普段の生活の中で、特別注目を浴びる訳じゃないけれど
気になってしまうモノ。ないと心寂しいモノ。
手にするとほっとする感じ。
そういう暖かな読後感が、この本にはある。
そういう意味での「とるにたらないほどのさりげなさ」は、
実はとても大切なものだと思うのだ。
眠る前に読んでも少しも疲れないのも良い。
いくつか自分も好きなものについて書かれてあって、
馬鹿馬鹿しい様だけれど親近感が湧いた。
その中の一つに二人静がある。
和三盆をまあるく固めただけの干菓子だが、
上品な甘さで、ポン、と口に放り込むと、ほっとする。
別なエッセイ集では、アゴタ・クリストフの
「悪童日記」についても触れられている様だ。
これも大好きな本だ。
- 作者: アゴタクリストフ,Agota Kristof,堀茂樹
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2001/05
- メディア: 文庫
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うん。
正にあれは、衝撃的だった。
すっかり気に入って他の著書も読んでみたくなったのだが、
たまたま入った書店で扱っているのは、どれも恋愛小説ばかりだった。
僕はどういう訳だか昔からこの手の本や映画が苦手だ。
暖かな気持ちにさせる微笑ましい恋愛話も、感動の涙を誘う悲恋話も、
つい「面倒臭い」と思ってしまう。
恋愛について、何処かでそういう感情を持っているからだろう。
どうしても、余所様の面倒にまで鼻先を突っ込みたいとは思えない。
僕はまだ自分の、それこそ「とるにたらない日常」だけで手一杯だ。