地獄の鬼にも嫌われるか

楽しげな鬼たち

東京国立博物館
天台宗開宗1200年記念 特別展 最澄と天台の国宝 
に行った。


昼飯時で腹が減ったが
お店に入ってゆっくり食事をするには
懐が淋しく、時間も足りなかった。


折り悪く降り出した雨の中、
都美館の外に設けられた小さなパラソルの下で、
震えながら駅で買った握り飯をもそもそと食べた。
途中パラソルの下に雀が一羽飛んで来て、
すぐ側に来て物欲しそうな顔をする。
可愛いので飯粒を放ると、
すぐ手元までチョンチョンとやって来て
テーブルの上で一緒に食べ始めた。
何度も何度も手元に来ては、お零れを待っている。
上野の雀は逞しい。
降りが酷くなって来たので大急ぎで握り飯を詰め込んで
足早に博物館へ向かった。


先述の通り、いつもの事ではあるが手持ち不如意。
申し訳ないとは思ったが、
自動券売機で学生用のチケットを買った。
前の晩眠っていなかったし、不精髭もそのままだった。
どう贔屓目に見ても学生の風貌ではない。
流石に見咎められるかと冷や冷やしたが、
学生証の提示は求められなかった。


館内に入って暫くすると、
あれほど激しく降った雨は嘘の様に止んで、
暖かな日差しが差し込んで来ていた。
間の悪い事この上ない。




見応えのある展示だったが、
中でも六つの地獄が描かれた、六道図が面白かった。
自分が落ちるなら何処が良いか、等と考えながら観る。
もしかしたら、仲良く出来そうな鬼が
一匹くらい居やしないかと探していた。


しかし、地獄の沙汰も金次第、と言うから、
仲良くしてもらえるどころか、
今のままでは追い返されるかも知れない。




常設展示も前回行った時とは内容が変わっており、
面白かった。
どうしても参考資料にしたいものがあって、
恐る恐る学芸員の方に尋ねてみたら、
撮影禁止の注意書きの無いものに関しては
フラッシュを焚かなければ撮影しても良いとの事。
今まで知らずに損をした。


ついでに庭も観れるかと思ったのだが
春の公開は終了してしまっていた。
秋まで待つ。