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諸事情から暫くの間、ベッドに横になって
じっと大人しくしていなければならない。
満身創痍で寝込んでいる訳でもないので、
ついむくむくと出掛けたくもなるのだが、
今一つ足元が覚束ないのだ。
気持ちは大いに元気であるのに、
ずっと横になってばかりいては
気持ちの方まで鬱々として腐ってくるというものだ。
退屈でこうしてパソコンの前に来てはみるものの、
日記を更新したりするのがやっとの事で、
すぐに座っているのが辛くなってしまう。
横になって本を読むのが唯一の娯楽となってしまった。
読みかけの本を次々と片付けて、友人から借りたまま、
読むのを楽しみに取っておいた本があるのを思い出した。
- 作者: 畠中恵
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/11/26
- メディア: 文庫
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読み始めてすぐに、鬱々とした気分が吹き飛んだ。
ページを捲って物語を読み進めるめるのが、兎に角楽しい。
読み易い文体、時代設定、
前作よりも更に目鼻立ちがしっかりとして来た印象を与える
魅力的な登場人物達。
世界観も何もかもが好みだ。
「空のビードロ」というエピソードでは、
江戸時代という時代設定では珍しい品だった、
硝子細工の根付が重要なキーアイテムとして描かれている。
疲れ果て荒んだ心までも、その清浄な青い輝きで浄化してしまうような、
そんな息を飲むほどの澄んだ青さを持つビードロの根付。
絵空事の中に描かれた品を、これほど欲しいと思ったのも久しぶりだ。
読み進める事に喜びを感じさせる本に出会えるのは、
とても幸せな事だというのを思い出させてくれる一冊だった。