ここ暫く、子の四月からの保育園通いの支度などに追われて落ち着かない。 かなり無理をして、とうとう電動アシスト自転車なるものを買った。 自転車のハンドルに取り付けたシートに子を乗せるので、 幼児用の丈夫そうなヘルメットを探して買った。 雨が降れ…

奧さんが少し鼻をぐすぐすさせているな、と思ったら軽い風邪で、 彼女は元来丈夫な質なので、どうということもなく熱も出さずに済んだのだけど、 今度は子が少し鼻を垂らすようになって、それも熱が出たりせずにすぐに良くなって、 僕はというとすぐに人の風…

今日で一歳になった。 あっという間だったような気もするし、そうでもなかったような気もする。 機嫌が良いと、にこにこしながら仁王立ちしている様子が度々見られるようになった。 伝い歩きをするようになり、ちょっと目を離すとソファーによじ登って お向…

子を風呂に入れて、結局いつも水浸しになるから 自分も手早くシャワーを浴びて、というのが日課になった。 目を閉じて頭の天辺から熱い湯を浴びる。 先程迄の喧噪が消えて水音だけになった瞬間、ふと、 結婚し子が出来て家族を持ったというのは全て夢で、 浴…

停車したバスの中に立っている。 外は暗く、通りに面した色んなお店の灯りがぼんやりと目に映る。 入り口近くの手摺りに掴まって立っていると、開いたままのドアから妻が乗り込んで来る。 近くのジュエリーショップであなたに良い物を二つ見付けた。 どちら…

書き留めておきたい事が幾つもあるのに、ここに書かずに日が経ってしまった。 注文を受けて羊毛で作ったマスクを納品した。 注文を下さった方御自身が物作りをされる方で、 始めてお会いする方だったけれど、その方にお任せして値段を決めて頂いた。 不思議…

友人と古着屋の中で上着を物色している。 突然何かを喚き散らしながら店に飛び込んで来た女が、こちらへ向かって来る。 何を言っているのかさっぱり判らなかったが、 摑み掛かって来るので、仕方なく店の外へ押し出す。 女は捨て台詞を吐き捨てて去ったが、…

子の事でアドバイスが欲しくてした質問に、 予想もしていなかった答えが返って来て一瞬唖然とする。 そんな風に誤解されるというのが残念でならない。 普段からどう思われているかが透ける様で、先々のことが不安になる。 もう頼れないな、と思う。 子が生ま…

百日が瞬く間に過ぎた。 一生懸命に人の顔を目で追うようになり、 声を上げて笑うようになった。 どんどん人になってゆく。 それが嬉しくもあり、少し惜しいようでもある。 子があらぬ方へ笑いかけたり話し掛けたりしているのを見ていると、 僕がとうに忘れ…

初めての子は予定日よりも遅れることが多いと聞いていた。 前兆も全くなく、もっと歩いたりした方がいいのかも知れないと、 出産予定日だった二日にも散歩に出掛けた。 少し腰が重い気がするというので夕方頃には引き上げて来たのだけれど、 食事の支度をし…

旅先の宿らしき部屋。 妻と、友人らしき人たちと四人で居る。 妻はまだ眠いのか、それとも転た寝をしているのか、一言も話さない。 友人たちのベッドの上を、チィさんが我が物顔でのしのしと歩いて来る。 さっとつかまえて抱きかかえ、よくそうしたように ひ…

足首から先が猫足になっている夢を見た。 太短い薄茶の虎柄で、かなり高いところから跳び降りても巧く着地することが出来る。 高いところに上がるのは少し大変そうだったけれど、 普通なら梯子を使って登るところを、ジャンプだけで何とか跳び付くことが出来…

気が付けば何ヶ月も日記を書いていなかった。 体調は相変わらずだけれど、薬の使い方にも慣れて随分と巧く対処出来るようになった。 数回の検査で得られたのは、頻脈の原因はおそらく心臓疾患にはないという事と、 甲状腺の異常でも、肝炎でもないという事。…

四度目の受診。 処方された薬がよく効いて、心拍は落ち着いている。 息切れは相変わらず。 超音波検査というものを初めて受けた。 ホルター心電図に表れた様な、日に数度の頻脈の原因は特定出来なかったが、 超音波検査の結果からも心臓に重篤な障害の兆候は…

空港で荷物を失す夢、冷蔵庫が開いたままになっていて、中の物が全て腐ってしまう夢。 薬の影響で日中とても眠い。 無理をして起きていても、時々ふらふらと意識が何処かへ跳んでいる様で、時間の経過が判然としない。 時々転た寝をしてしまうのだけれど、そ…

先週だったか、心電図や採血したものの分析結果を聞きに病院へ行った。 ホルター心電図からは狭心症や心筋梗塞等の顕著な兆候は見られないが、 安静時に時々心拍が140を越える頻脈が日に数度あり、はっきりとした原因が判らない。 血圧も下がらないままなの…

四月の中頃に大したことのない風邪を引いて、 大したこともないのに臥せっているのは癪だと思いながら、 それでも早く治してしまいたくて大人しくしていた甲斐もあって、 風邪はすぐに良くなったのだけど、 久し振りに起き上がって近所のスーパーまで買い出…

陶芸作家の北村公正氏にお願いして造って頂いたチィさんが届いた。 氏の作品を初めて観たのはクリエイターズマーケットで、 細部まで観察して緻密に作り込まれた亀や蛙や魚などの小さな生き物を観て、 小手先の器用さだけではとても造れない生き生きとした造…

一年前と同じ、穏やかな陽気。 去年の今日はチィさんの骨壺を抱えたまま、近所の寿司屋で昼食を摂った。 真っ直ぐ家へ向かうのがどうにも寂しく、帰ってしまったら、 食事の支度などする気分にはとてもなれそうもなかった。 隣の椅子にチィさんの骨壺を置い…

一年前の三月二十二日は晴れ。 暖かな日差し。 穏やかな春の始まり。 チィさんの骨壺を抱いて、桜の木の下に立った。 明日で丁度一年になる。 チィさんのことを想わない日はない。 柔らかな背中を ざらざらした舌を 物憂げな目を 静かな佇まいを 心許なげな…

その二

寝起きでぐったり疲れているというのも妙な話だけれど、 少しも休まった気がしない。 居間の絨毯に横になった途端に、また眠ってしまった。 前の夢で見た家にまだ居て、今度は昼間の様だった。 僕は家の外で自分の布団を探し歩いている。 それは何故か近所の…

何処か知らない部屋で夜を明かすことになったが、 その部屋には色々なものが訪ねて来る。 皆勝手に入って来て好き勝手に過ごし、去ってゆく。 猫や小さなものたちが来るのはかまわないのだけれど、 夜も更けるととても大きなものまでが入って来て、 僕と妻を…

妻も僕も小さなものが好きだ。 爪の先に乗るほどの銅製のロボットや工具類のチャームを見付けて、 好きそうなものがあるよ、幾つか注文してみようか、と誘って 代金の振り込みをした。 注文を終えると、振込先や、振り込みが済んだらその旨連絡をするように…

親しい友人が集まって、珍しくうちに泊まる事に。 夜も更けて話し込んでいると、何処かから微かな水音が聞こえる。 気になって洗面所の方を見にゆくと、 水道管の破裂か何かで足許には勢いよく水が溢れ出してきている。 これは困った、どうしようと思ってい…

夢の中で、僕は死んだ猫の遺骸を抱いて彷徨っていた。 長毛で白く大きな猫の遺骸は、手脚を伸ばしたまますっかり固くなっていて、 僕はそれを急いで、冷たくて清潔な水の中に沈めてやらねばならない。 そうしておけば猫の遺骸はいつまでも腐り出さず、 もし…

クリスマスに、妻が僕に内緒でチィさんの写真集を編集してプレゼントしてくれた。 photobackというウェブサービスを利用したらしいのだけど、 年が明けて、その写真集がphotoback「今月の一冊」に選ばれました、との連絡が届いた。 本を受け取った時も嬉しか…

イラストレーターのかなもけんさんが描いて下さった家族の肖像。 チィさんのお骨を抱いて戻った日、真ん中のチィさんの絵が届き、 とても嬉しくて、本当に嬉しくて、 それから長い間枕元に置いて、毎朝毎晩この絵を眺めていた。 壁に掛けてからも、ふとした…

旅の事で書き留めておきたい話が沢山あるのに、 どうも体調が優れず、日が経ってしまった。 空港からバスに乗る際、小銭がなくてまごまごしていたら、 苛立たしげに「もういいからさっさと乗れ」と言われた事。 バスの運転手は少々邪険な態度だったが、 「金…

泊めて頂いたお家は、作家のいしいしんじさんの 米国での翻訳者である、ボニーさんのお家。 とても不思議な魅力に溢れた方で、 ボニーさんの周りには、いつも何かしら不思議なことや 素敵なことが巻き起こっている気がする。 身の回りに物語を紡ぎ出してしま…